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もう一度「原点」にもどって

津別のミズナラと木のタマゴ

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「森づくりから始まる木育」パート2

前回は木育の原点である「森づくり」を、一般の方にも伝わりやすいよう音楽に例えて表現してみた。「木育」を進めるうえでは、子どもを木のおもちゃで遊ばせるというような表面上のことだけでなく、大人たちが「森」のことを理解しつつ、子どもたちに伝承してゆくことが必要だと感じている。
「木育」から切っても切り離せない森林や森づくりを、今までとは違った視点で伝える方法を模索しているので、今回も曲に例えて考えてみる。

●曲作り(森づくり)の目線

森づくりにおいては、ただ木を植えたからといっても立派な森になるわけではない。それには、子どもを育てるように手間をかけることが必要で、しかも森を作ってゆくためには一人の子どもだけではなく、たくさんの子どもたちを立派に成長させなければならない。自分の植えた木だけが育てばいいのではなく、他の木の成長を助けるためには途中で伐られることもあるのが森づくりの宿命だ。
どのような森にしていきたいか、そのためにはどんなことをしなければならないか。曲作り(森づくり)をしてゆく上では、2つの目線がある。人間社会を優先する人目線と、生物多様性を優先するような森目線だ。どちらの曲を選ぶかは自由だが、私が思い描くイメージは・・・

 

【人目線の場合】
人目線の曲、すなわち一般的に林業と呼ばれる森づくりは、演奏者ごとに楽譜が描かれている。バイオリンやサックスなどの楽器奏者、いわゆる森の仕事をする人たちの役割ごとに音符が刻まれている。演奏者によって曲の雰囲気がガラッと変わってしまう場合があったり、演奏者が少なくてどこかのパートが抜けてしまうこともある。皆でしっかりした演奏が出来るかは、全て演奏者の技量次第である。
一般的に人目線の曲は、譜面がキチンと出来過ぎているため、演奏者任せのアドリブを受け入れない。初心者が多かったり、まだ曲の雰囲気を掴めていない者がいると大変だ。しっかりとした教育を受け、きちんとした演奏が出来るように育てることも必要になってくる。
また、曲はきちんと決められているため制約が多く、正確に音が出せないと演奏者はクビになったり、時には高価な楽器を買わされたりで費用がかかりそうだ。売れ線勝負で挑み、大々的に広告や資金をかけても、曲が楽しくなくては売れない。演奏者は必死にやっているのに、曲が難しすぎて上手く演奏出来ないこともしばしばである。

 

【森目線の場合】
こちらの曲は演奏者(森林内の生物たちなど)のレベルに合わせて曲が描かれている。演奏者が多いため曲を作るには手間と知識も必要なので、作曲者によって曲作りが大きく変わる。
演奏者にも聴く側にも分かりやすい曲であったり、ハーモニーが美しかったり、表現が豊かになっているのが特徴だ。時としては演奏者が多すぎて、指揮者の力量が問われることがデメリットかもしれない。指揮者は演奏者に任せることも多く、アドリブの演奏も随所に見られる。つまりジャズのようにテーマが決まっていてリズムはきちんとサポートするが、あとの演奏はソロイストに任せるような曲だ。
指揮者は演奏者の気持ちを盛り上げ、バランスをしっかり考えた曲に仕上げてゆかなければならない。演奏者の中には速いテンポを望むものがいたり、自分勝手なものもいるのでコントロールが非常に難しい。

ところで皆さんは、「きちんと決まった曲」と「未完成で不安な部分があっても面白そうな曲」どちらが好みだろうか?
曲を聴いたり演奏しながら、自分に合った音楽や曲を探してみて欲しい。

                  

ようてい木育倶楽部
 齊藤文美