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「森づくりから始まる木育」パート1

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「木育への想い」7

「産業としての木育」

日本の林業を振り返ると、安価な外材を得られるようになって衰退してしまった苦い経験や、それ以前には森林がはげ山になっていった時代もあった。国の台所事情で揺れ動いた日本の森林と林業。今の日本では豊富な樹木が森林にあるので、それを伐り出して再び産業として持続できる林業を目指し、国内自給率を上げることを目的にすすめられている。しかし、木を伐り出し木材を市場まで運ぶための費用が嵩むことから、高性能林業機械を導入するなどしてコストを下げることに躍起になっているが、どこまで下げられるかは課題である。
過去に何度も危機を迎えている日本の森林は、木材産業だけに頼ろうとしている今の林業スタイルでは再び犠牲になることが懸念される。決して木材産業を振興するなということではない。単一的な考えで森林を扱って失敗した過去を振り返り、これからの日本の森林と林業を持続可能にするやり方があると思うのだ・・・


 


森林が多面的機能を有していることはこれまで何度も取り上げている話だが、はたしてそれがどれだけ人々に理解され伝わっているかは見えてこない。自然の恵みがあるからこそ我々人間は生きていられる、そういった実感を得られないまま都市の人々は生活していると考える。持続可能な社会を形成するためには人々が自然の価値を重んじることが重要であり、伝える人間を持続的に作っていくことがさらに重要である。
よく「自然環境はお金にならない」と言われる。確かに企業の社会的責任などの動きが変わりつつはあるが、環境に対してのきちんとした仕組みやマネージメントが適当かどうかは不確かである。たとえば森林に関わる行事を見るとほとんどが植樹で、それも広告代理店を通じて行っているケースもある。また、せっかく学生時代に自然科学を学んだ若者を、社会や企業の中で生かし切れないのが現状ではないだろうか。自然環境はお金にならないのではなく、逆手にとってお金や雇用に繋げる方法を見出すことが重要だ。例えば企業が抱えている環境リスクをコーディネートできる人材を育成し、企業の社会貢献に使えるシステムが必要と思っている。


 


森林は自然環境において重要な存在である。そして、木育のテーマである「木とふれあい、木に学び、木と生きる。」には多くの要素が含まれており、人々のこころを育むことの大切さを伝えてゆく必要がある。林業は木材産業だけでなく、自然環境をコーディネートできる人とともに進むことで、持続可能な産業として将来に繋げられるのではないかと思っている。
「木育コーディネーター」の育成、そしてその人材が地域や企業で活躍すること。子供だけでなく広い年齢層に、森林のこと、木材のことなどを広く伝えてゆく役割を担う人材を作っていくことが、自分の「next10」と考えている。木育が産業の一部になっていくのに必要なのは、多くの人材を育て、その人が自立できるかたちで産業に関わってゆくこと。木育と木材産業を融合させ、総合的に森林を担う新たな林業がこれから望まれるのではないだろうか。


北海道水産林務部道有林課
 齊藤文美