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「森づくりから始まる木育」パート1

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「木育への想い」6

■「普段着の木育」から「next10」へ

木育がスタートして10年。全国的に浸透してきた木育のさらなる展開とは・・・私が「普段着の木育」を推奨してきたのは、着飾らない生活の中で無意識に木育が取り込まれている姿を作っていきたいという想いからである。これまで木育は、木のおもちゃなどで木に触れる機会をつくることで推し進めてきたが、10年の歳月を経て次へのステップも考えていかなければならないと感じている。

 



「林業の多様化」

林業は木材を生産することが主体となる産業である。木を植えて、育て、伐るまでに永い年月がかかるため、大規模な森林所有者を除けば成立しづらい産業である。伐る頃には時代のニーズに適さなかったり、世代を超えての管理をしなければならないことから放棄してしまう場合もある。(大規模な所有者でも黒字経営にならない)持論ではあるが、これからの林業を持続的に行ってゆくための鍵は「林業の多様化」だと思っている。
森林所有者は木材生産だけでは収入を得る機会が少なすぎる。いつか収益が入るとしてもそれは自分の代では難しい。森林は資源の宝庫であるが、その価値は上手く利用されているとは言えない。バイオマス産業も結局のところ規模が大きすぎて、庶民には縁遠いものになっている。小規模な森林所有者でも毎年収入を得られるよう森林の価値を最大限に引き出す仕掛け「林業の多様化」が望まれる。

 

「林業の中の木育」

森林の価値を最大限に引き出す、それは木材を生産することだけでなく、森林に存在するあらゆるものを活用することであろう。森林は樹木だけでなく、美味しい水や新鮮な空気を提供し、そして野生動植物が棲む世界。多面的な機能を有する場所である。しかしながら、活用されている大半は「木材」。人間が直接的関わりを持つ上では重要なものであるから至極当然だろうが、それだけで林業が現在産業として成立しているとは言えない状況である。基盤となるものやニッチな部分をどう進めてゆくかが今後の林業に向けた新たな展開と思っている。

 

「木とふれあい、木に学び、木と生きる。」

このテーマは今の木材産業の基本部分であり、これ抜きでは今後に繋がってゆく産業としては成立しないのではないだろうか。木とふれあうことにより、木のぬくもりに親しみを覚え、森林に親しみを感じる。そして、木から得られる、森林から得られる恵みをどう学んでゆくか。さらに、我々はどう木と、森林と関わりを持ちながら生きてゆくか。この3つのキーワードをしっかりと根付かせない限り、次のステップである木材産業等の森林の活用に繋がっていかない。
例えば、木材生産するためには、「植えて、育てて、伐って使って、また植える」という循環が必要となるが、主語が抜けている。それは「だれが」ということである。
一般的に「植える・育てる」は現在の森林所有者だが、「伐って・また植える」は現在の森林所有者とは限らない。植えてから伐るまで長期間を要する木材の生産に対して森林所有者だけにその義務を押し付けるのは無理なこと。国民に木材生産の必要性や森林の役割等をしっかりと認識してもらうことが重要だろう。「だれ」という主語を埋め、基盤を固める役割を担うのが「木育」ではないだろうか。
これからは林業の中の産業として「木育」を進めること、つまり木育においても雇用を創出してゆく必要があると私は考えている。
次回はその構想を述べてみたい。


北海道水産林務部道有林課
 齊藤文美