「木育への想い」5
前回までは森を通して木育の話を書いてきたが、今回は麓に降りて「普段着の木育」の話。 木を使って、木に触れてもらう。子供だけでなく大人も楽しめるものを作ってみたい。そんな想いから生まれたものとは・・・
私が木工で使っている道具は主に電動糸ノコ。3年ぐらい前からキャンドルカバーや表札など、板を切り抜きながら作り始めたことがきっかけとなり木に対する想いが強くなった。
最初はネームプレートなどを作りながら、糸ノコで作ることが出来る作品を模索していた。一昨年には木のモビール、さらにアクセサリーと続き、どれも奇麗に仕上げられるようになったがオリジナリティに欠け、どうもしっくりとこなかった。しかし鍋敷きを木で作るうちに、ひょんなきっかけでパズルと出会った。 1枚の板で作るのではなく、小さな形のモチーフをたくさん作り、その形を組み合わせて作る鍋敷きだ。パズル・・・これはひょっとしたら面白いかもしれない。
ジグソーパズルは一般的には紙で作るが、木のパズルは木に触れながら組み立てる。自分がイメージしている想いに近いものが出来そうな気がしてきた。オリジナリティが大事なポイントなので、違う切り出し方で作ったら面白いだろうと、動物やアルファベットの形を組み合わせてデザインを考え切り出してみた。
私が作る木製パズルは大きさがバラバラで、絵を合わせてピースを嵌めてゆくのではなく、形が合うものを探しながら嵌めるので、ちょっと違う感覚で楽しむことができる。
ピースの数は少なめで、時間を掛けずに組み立てられるので、ちょっとした合間で楽しんでもらえる。紙と違って厚みもあり、嵌める感覚がより強くなってくる。嵌まった瞬間は脳への刺激が気持ちいい。「木製パズル」の面白さは子供から高齢者まで広がり、イベントはもちろんのこと家庭や老人施設でも使われるようになってきた。
私は「普段着の木育」を目指している。アナログのおもちゃは優しく脳を包み込み、心地よい刺激だけが伝わってくる。大切なのは優しい刺激であり、過激なものは成長の妨げになる。
私の「木育」は、柔らかな刺激を与えられるものでありたいと思っている。
北海道水産林務部道有林課
齊藤文美
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