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「木育への想い」2

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木育建築のススメ

「木造建築」という言葉は一般的に使われていますが、「木育建築」という言葉はまだあまり普及していません。木造とは建築構造材に木材を使っているだけで、建築空間における木材の良さや可能性を伝える表現ではありません。人の生活のなかで「木とふれあい、木に学び、木と生きる」建築はただの木造ではなく、木育としての視点が大切であると思います。これからは木育の理念で造られた建築を木育建築と呼ぶことにしてはどうでしょう。

 

小樽教会 外観


近年北海道ではこの木育建築が少しずつ増えています。住宅建築だけではなく公共建築や教育施設、商業施設などにおいても、木とのふれあいを大切に建てられたケースが多くなっています。昨年末に完成した「日本キリスト教団 小樽教会」もそのひとつです。この教会建築を例にとって、木育建築の特徴を紹介してみたいと思います。

まず木育建築とはどのような建築なのか考えてみましょう。

一つ目はそこで使われている木材が周辺地域の森とつながっていること(地材地消)、二つ目はその中に地域の歴史とのつながりが感じられる工夫があること、三つ目はその建築技術に地域の産業とのつながりが見えること、4つ目は木のぬくもりがそこに集う人を優しく結びつける建築であること等々、厳密ではありませんがそのような建築と木材の関係が条件となるでしょう。

礼拝堂内部

 

構造架構図

小樽教会は1885年に小樽で創立されたメソジスト系のキリスト教会で、130年の歴史において今回が3度目の改築です。延べ面積400uの木造2階建ての教会ですが、木育建築のモデルとなるよう計画されました。献堂式の挨拶文には「小樽教会では、この永い信仰の伝統を目に見える形の上でも表現すべく、稲穂町の会堂以来用いられてきた床材,椅子,説教壇,聖餐台,大中小三つの鐘など、引き続き新会堂に生かして用いることにしました。また梁や柱、外壁などに無垢の後志産カラマツ材をふんだんに使用して、木のぬくもりと優しさが感じられる会堂となっています。」と解説されています。

家具とレリーフ

昨年2月に倶知安町琴平の森で伐採した無垢のカラマツ材を使った新しい建築デザインを目指す一方で、80年前から教会堂の床に使ってきた道産ナラ材のフローリングなどを再利用し、古く壊れかけた家具類を丁寧に再生することで、記憶装置としての木の力と魅力を生かした木育建築に仕上がりました。

ぜひ近くに行かれることがありれば、外部だけではなく内部の空間も体験してください。鳩の木製レリーフが迎えてくれるはずです。 

(株)環境設計
下村 憲一