工場見学
先々月、小学5年の子供をつれて苫小牧の製材工場に行ってきました。
その製材工場には何回も行っているのですが、子供を連れて行くのは初めて。冬休みの自由研究のためです。親が押し付けたわけではなく、子供から「製造業の現場を見たい」と言ったので。ついでに小学2年の下の娘も連れて行きました。
私が社長と打ち合わせている間、常務が子供たちを案内してくださいました。丸太を積んだ土場から皮剥き機、製材機(のこぎり)、チップを作る機械、チップの山、おがくずの山、製品の梱包。どれも初めて見るはずですが、「どうだった?」と聞くと「うるさかった」と。確かに製材工場は大声でも会話しづらいくらいの音がします。
冬も外気が吹き込んでくる工場の中で、鼻水をすすりながら機械を操っている人がいます。ほとんど屋外と同じような寒さの中、1枚1枚丁寧に製材を積み上げている人もいます。私たちが普段使っている木材は彼らががんばって作っているものです。ただの木材の中にも彼らの苦労が詰まっています。・・・そんなことを気づいてくれたらうれしいと思いましたが、果たして?
残念ながら国内の木材産業の競争力は海外よりも劣っているようです。食料品の自給率が4割で「大問題」とされているのに対し、木材の自給率は2〜3割。木材は「衣食住」の「住」につながりますから、やはり大問題だと思います。
国内の木材産業の競争力が劣っている理由は、丸太の質が落ちたり、小規模多品種生産であったり、どんぶり勘定であったり、人件費が高かったり、他にもいろいろな理由が考えられますが、できない理由ばかり考えていても仕方がない。できることを考えよう、ということでキタヂカラ木材店は始まりました。
北海道は世界でも有数の森林地域です。「旭川家具」に代表される木材加工技術のある地域でもあります。また、域内に「札幌」という大消費地もあります。地域でうまくまとまることができれば非常に大きなことができる可能性を秘めています。
「木育」は木に触れ合うことから始まりますが、その「木」の生い立ちや経路、かかわった人の苦労、取り巻く社会など、いろいろな要素が複雑に絡まって「木」が成り立っています。「木」を通して社会を知ることができ、「木」によって社会に影響を与えることができます。
「木育」は「教育」=>「子ども」と捉えられがちですが、もしかしたら大人にも必要な視点かもしれません。
キタヂカラ木材店 代表 上島 信彦
http://kitadikara.jp
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