読書のすすめ 
   「神去なあなあ日常」 三浦しをん著

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読書のすすめ 「神去なあなあ日常」三浦しをん著

「林業」をまっすぐに描いた小説が出版されているので紹介します。
著者は「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞した三浦しをんさん。表題の小説は、林業の担い手を育成する「緑の雇用」制度で、不本意ながら林業の世界に放り込まれた主人公が山の仕事に親しんでいく物語です。読んでほしいので詳細は語りませんが、山仕事での驚きや苦労話は、林業従事者には「あるある!」とうなずけるものではないでしょうか。特筆すべきは、高校を出たばかりの都会育ちの若者が、仕事を通して自然に「山の神」の存在を認めるようになること。「山の神」など時代遅れに感じられるかもしれませんが、山を畏れ、山の恵みに感謝する思想は、人と森が共存して生きていく一つの形に思えるのです。

北海道の森(人工林)

著者の三浦さんは「緑の雇用」を応援するメッセージとして、こう書いています。
「林業はたいがい、山中の人目につかない場所で作業が行われる。だから、多くのひとは、林業の具体的な仕事内容を知る機会がない。危険と隣り合わせの作業を高度な技術で淡々とこなし、誇りとチームワークで山が維持されていることを知らない。山を支える人々がいるからこそ、私たちは木を使えるのだし、おいしい水にありつけるというのに、『間伐するのは自然破壊だ』といった誤解が一部に残っている。林業の重要さと、山で働くひとたちのプロフェッショナルな姿勢を、町に住む人々にももっとアピールしていく必要があるだろう。(略)山と町は、決して隔絶してあるのではない。すべては循環し、影響を与えあっているのだということ。放置するのが自然なのではなく、ひとの手が適度に入ってこそ自然は維持されるのだということ。その大切な事実を象徴し、体現するのが『緑の雇用』の研修生のみなさんなのだと思う。」(Midori Press20号 一部抜粋)

九州の森(人工林)

林業はつらくて厳しいばかりじゃない。小説で読み解く「林業っておもしれ〜」の世界、ぜひお試しください。


網走東部森づくりセンター 根井三貴