読書のすすめ 
   「神去なあなあ日常」 三浦しをん著

知ってほしい 漆のこと
   〜 網走の漆を守る活動

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知ってほしい 漆のこと 〜 網走の漆を守る活動

漆は、ウルシの木から得られる天然の塗料です。ウルシは本来北海道に自生する種ではありませんが(自生するのはヤマウルシ、ツタウルシであり同科別種)、本州から移植されたものを網走市や江差町で見ることができます。特に、網走市のウルシは北限とも言われ、北海道で現存する数少ない林となっています。
この北限のウルシを守るために、「網走うるしの会」という市民団体が森林の維持と漆文化の再生を目的に活動しています。今回、なかなか知られていないウルシの木と塗料についてお話を伺ったので紹介します。

 

漆の液は、樹皮と材部の間にある革皮部を傷つけると分泌されます。漆の液の採取(漆掻き)は6〜10月の間に行います。最初に目印となる傷を付け、その後上方に5日に一度ずつ水平傷を付けていき、にじみ出る液体をへらなどで採取します。シーズンの終わりには、幹を一周して傷を付け(止掻き)、その木は伐採します。ウルシの木は萌芽更新が旺盛で、伐採してもまた十数年で、漆掻きが可能な大きさにまで成長します。

 

水平に傷を付ける方法は、質の良い漆を取ることができますが、暑い時期に1本1本手作業で液を掻き取る重労働を伴います。また、漆は1本の木から1年に100〜200cc程度しか得られません。天然の漆がいかに貴重で高価なものかがわかります。その分、優れた漆器は耐久性、防腐性があり100年でも使うことができると言います。木製品がどうやって作られるのかを知り、その価値・文化を認めること。それを改めて教えられた気がします。「網走うるしの会」では漆塗りの講習などを行っていますので、関心がある方はお問い合わせください。 

さて、ウルシと聞いて気になるのがやはりウルシかぶれ。漆掻きなどの作業でも、かぶれは生じるそうです。ただし、十分に乾燥、養生された製品ではかぶれは起きないそうです。消費者として、いい製品を選ぶ目を養うことも大切だと言えます。     
※本文では、木と塗料を便宜的に区別するために木をウルシ、塗料を漆と表記しました。

情報提供:松下敏夫氏
       (網走うるしの会会員、美幌町松下工芸0152−73−5659)


文:網走東部森づくりセンター 根井三貴