子どもが最初に触れる木

大五木材の「適材適所」通信

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思い出の木のもの

 

突然ですが、上の写真、何だと思いますか?
そう、子供の抜けた乳歯を、その歯が生えていた位置に入れられる『乳歯入れ』です。真ん中の大きな穴には、産まれた時の“髪の毛”と、“へその緒”を入れられます。木製のピンセットも付いているんですよ。

先月札幌で開かれた“木育ミーティング”に参加した際、各自『思い出の木のもの』を持って来て紹介する事になっており、私はこの『乳歯入れ』を紹介させて頂きました。

 

娘が5歳になって前歯が抜けた時、妻が、小さくてかわいいその歯を投げられずに、しばらくフィルムケースに入れてとっておいたのですが、続けて2、3本と抜けた時、ひらめいたのでしょう。当時、旭川の家具工房で修行をしていた私に、「口の形をしていて、抜けた位置にその歯を入れられる木の箱作って!」と。私もこれは良いアイデアだと思い、仕事の後、端材を使って作っては、妻から「角がない方がいい。」また作っては「もうちょっと可愛らしさが欲しいなぁ。」など、ありがたい(?)意見を参考に苦労の末、出来上がったのが、上の写真なのです。
苦労した甲斐あって、娘もとても気に入ってくれて、というより、早く全部の穴を埋めたくて、「早く歯抜けないかなぁ」と乳歯が抜けるのが恐くなくなって、楽しみになったようでした。抜ける度に乳歯入れを持ってきて、「どこの穴?」「ここだよ。」と言って、その穴の上に抜けた時の歳と日付を書き込むのです。


 

そんなこんなで、今年の1月にめでたく全部の穴が埋まったのです。親バカですが、我が家ではちょっとしたイベントでした。
大事にとっておいて、娘が嫁に行く時、もしくは思春期にグレかけた時、そっと渡そうと思っています。「ああ、愛されていたんだなぁ。」ということくらいは伝わるかなぁ?と思っています。
実はこのエピソードを木育ファミリーのメーリングリストで紹介する機会をもらい、書かせて頂いたところ、会員の方からこの様な嬉しい返信を頂いたので、紹介させて頂きます。

『須田さんのメールを読みながら、勤務時間中なのに涙が出てきて困りました。親ばか、最高です。親の愛情ってかけがえのないものですね。自分が子どもだった頃を思い出して心がほわっとあたたかくなりました。』

幸せなメールをありがとうございます。“木育”でつながった仲間が、彼の友達にこの『乳歯入れ』をプレゼントしてくれました。その家庭で、また家族の幸せなエピソードが生まれてくれたら嬉しいですね。

家具工房 旅する木
 須田 修司
http://tabisuruki.com/