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「3びきのこぐま」と木造建築
人の心に木を植える 前へ
 

 

 

「3びきのこぐま」と木造建築

「3びきのこぶた」はイギリスの昔話であり、有名なお話なのでご存知の方が多いでしょう。3びきのこぶたの兄弟が、それぞれわらの家、木の家、レンガの家を建てますが、わらの家、木の家はオオカミに吹き飛ばされてしまい、レンガの家は丈夫なためオオカミは壊すことができなかった、というお話です。
このお話には、ヨーロッパの住宅事情が大きく影響しています。ヨーロッパの古い建築物である寺院・城などはほぼ石造、民家も石造やレンガ造りのものが多く見られます。これは、ヨーロッパでは石やレンガなどの材料が豊富であり、建築技術も発達していたことを示しており、レンガ造りの家が丈夫であるというエピソードを生む背景になっています。


(3びきのこぐま表紙)

さて、日本では少し状況が違うようです。ここでご紹介するのが絵本「3びきのこぐま」。このお話は「3びきのこぶた」を日本風にアレンジしたもの。著者は材木屋さんで、子どもに「木の家はオオカミに吹き飛ばされるからイヤ!」と言われ、木の家のよさを見直してもらうために描いたという、これも何とも微笑ましいエピソード。
 3びきのこぐまでは、棒切れの家、石の家、大工の木の家が登場し、棒切れの家はオオカミに吹き飛ばされ、石の家はなまずの起こした地震で崩れてしまいますが、大工の木の家は大丈夫、というお話。台風と地震が多い日本ならではのお話です。
 日本では、神社仏閣が木造であり、古くから今日までその姿を維持しています。また新たに建てられる住宅も、一軒家の約8割は木造となっており、木の家は日本の一般的な住宅です。この背景には、日本には木材が豊富にあること、木材が住宅に合う特徴を持っていることがあります。
木材は、他の材料に比べて軽い割に強く、周りの湿度に応じて水分を吸収、放出する性質が、湿気の多い日本の住宅材料に適しています。また、紫外線や音を吸収する、木目や木の香りにリラックス効果があるなど、人にやさしい性質を持っています。

「木の家はオオカミに吹き飛ばされるような弱い家なのか?」
「いいえ!木の家はしっかり建てれば丈夫で、日本の風土に合った家なのです。」
絵本からわかるように、住宅材料は国や風土によって異なりますが、身近にある材料のことを知り、使うことが地材地消、さらに循環型社会にもつながっていきます。

北海道立林産試験場 利用部材質科
研究職員 根井三貴

参考文献「3びきのこぐま」著者:榎戸正人 出版社:東京集美堂
※この絵本は書店では手に入りません。ご希望の方は下記宛にお申し込みください。価格は送料込みの¥1000です。
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