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「3びきのこぐま」と木造建築
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人の心に木を植える
― 美しい日本の森林づくりに欠かせない、心の森づくり ―


日本は「木の国」と呼ばれてきました。
私たち日本人は最も身近な素材として木と永くつき合い、それが日本の「木の文化」として受け継がれてきました。永い時間をかけて、身近な生活の中で人が木と作ってきた暮らしは、森林資源の保全と活用のバランスがとれた美しい森を育んできました。それは同時に、森の恵みに感謝して生きる日本人の心も育んできたのです。
近年 日本の森林と林業そして木材産業は、たいへん厳しい状況のなかにあります。それは利便性や経済効果を追求してきた自らの社会の結果で、また子どもが加害者や被害者となっている事件や自殺の増加などは、人の心の衰えをあらわす社会現象でしょう。

木育とは 子どもをはじめとするすべてのひとが「木とふれあい、木に学び、木と生きる」取組です。
それは子どもの頃から木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むことです。今の社会は「育」のつく、教育や食育など人として一番大切なものを育む部分の混乱が健やかな心と体の成長を妨げています。それは日常を生きることの中で、目に見えない大切なものを見失っているからでしょう。ですから、日本の森林と木材産業の再生を目指すためにも「何が大切か?」を、すべての人の心に響くような分かりやすい方法で伝えなければなりません。
子どもたちの心に「木が好き」「木と仲良くしたい」という素直な気持ちが芽生えるため、幼い頃から木を見て、触れて、感じて、考える機会を日常的につくることや、大人自身が良質な木の道具をていねいに使い続ける姿勢が大切です。そして、街路や公園などの身近な自然の中から樹木のことに興味がわき、楽しい時間を過ごした経験が親しみや慈しみの気持ちを深め、地域の森林と木材への関心につながります。

森林には 経済財、環境財、文化財として3つの価値があります。
これらの価値はどれも欠けるところなく総合的であるほど、それぞれの価値も高まります。近年、その環境財としての価値が社会に認識され、地球環境を守るためには森林の保護が不可欠であるとの意識が浸透してきました。しかし、森林を経済財として循環させる価値の普及がまだ不充分なため「木を伐って、木材として使い、苗木を植え育てる」仕組みと、環境のつながりが正しく理解されていません。また日本人と木の深い関わりの歴史について学ぶことは、文化財としての価値を再認識し未来を考えることにつながります。
100年先を見据えて森林づくりをすすめるように、一人一人の心の中に木を植え育てる「木育」にも長期的な視点が欠かせません。そして人の心の木が美しい森に育つ時、日本の林業や木材産業が楽しくて夢のある仕事として再生するでしょう。

               KEM工房(木育ファミリー代表) 煙山泰子