木と森の工房見学ツアー体験記
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木と森の工房見学ツアー体験記

木育ファミリーでは、木、森、人をつなぐ試みの一つとして木製品が生み出される現場や人とふれあう工房見学ツアーを実施しました。

第1弾として平成20年11月15日、札幌市盤渓に工房をかまえる国本貴文氏を訪問しました。国本さんは、一輪挿しや椅子の他、学校施設等のレリーフなどを手がける木工家です。現在は置戸小学校のレリーフを作成中であり、まだ途中段階の作品には大きなモチーフの中に様々な木目の模様が踊っていて、完成が楽しみに感じられます。

一輪挿しから世界の木を学ぶ

今回のテーマは「木目」。木の色や木目の模様は樹種によって大きく違います。そもそも年輪(=木目)とは、春と秋で細胞の成長量が異なることからできる模様。春夏秋冬の気候がはっきりしている日本では年輪もくっきりしており、木目からもその風土の特徴が伺えます。国本さんは、素材そのものの美しさ、豊かさを大事にし、強いこだわりを持っている方であり、「木から人生を学んだ。木育という言葉があるなら、木育された人間が僕自身なんです。」と言います。木から得た教訓を4つに分けて話してくださいました。

@ 木もそれぞれ人もそれぞれ

木は一つ一つ性質が違います。ヤニだらけの松の木も、光にかざせば透過性が高く、美しい木目を見せてくれる。欠点も逆手にとれば利点になるのです。

A 謙虚であることの強さ

木は反る、曲がる、変色する。人はそれを「木の欠点」だと思いがちです。でも木はあるがままであるだけ、そうさせてしまうのは使う人の問題。木に対して合わせる、謙虚になる姿勢を学びました。

B 豊かさの扉はすぐ近くにある

普段、私たちが目にする木目はたいてい二次元です。木材を斜め、ジグザグ、なみなみに切ると三次元の模様が現れます。ちょっと見方を変えれば、新鮮な模様が現れるのが木のおもしろさです。お金や物がたくさんあるのは「物の豊かさ」ですが、「心の豊かさ」は知ることに喜びを見出すこと。一つの木にも多様な世界が秘められていることに気づけば、心が豊かになります。 

同じ木の中に多様な木目の世界

C 素材の美しさを通じて地球の恵みの豊かさを知る
カラマツのはっきりした木目や、スギのうずくりの手法、日本には豊かな森林資源があり、それらを生かす技法も育まれてきました。この環境で育ってきた私たちの価値観も世界に誇れるものです。素材と真摯に向き合い、どんな表現ができるか、作品にふれる人に特に子供たちに何を伝えられるかを考えています。

一片の木材にも豊かな木目の世界があって、「これは生きているときどっち向きに立っていたんだろう」とか、「年輪模様が目の玉みたい!」とか思うことは、心をほっこり温めてくれたり、自分の世界を広げてくれたりします。国本さんの作品は、そんな世界に気づかずに素通りをしてしまっている私たちに、豊かさの扉を切り取って見せてくれるようです。素材のあるがままを認め、生かす姿は、ぜひ子どもや先生などにも見てほしい!聞いてほしい!と感じるものでした。

和やかな体験会となりました

これから、私たちが他の人に木の魅力や面白さを伝えるときに、使える視点やアイデアがいっぱいの体験会となりました。百聞は一見にしかず。皆様も国本さんの話や作品にふれてみてください。
国本さんありがとうございました!

(有)トゥレベルク工房 http://www.nsc.ne.jp/traverk/